令和6年8月27日
《山形県バイオクラスター形成促進事業について》
山形酸素(本社:山形県山形市 代表取締役社長:島津康、以下「当社」)は、令和5年度より山形県バイオクラスター形成促進事業を通じ、慶應義塾大学先端生命科学研究所と山形県工業技術センター庄内試験場との産学官連携による共同研究を実施し、山形県産さくらんぼの長期保存技術の確立に向けた研究を実施しております。
今般の検証より、独自技術である「特定ガス組成」を用いることでカビの発生を抑制し、食味を含む品質の変化が少ないことが確認でき有効性が示されました。この研究は、山形県の主要な果実であり、全国の75%※1を生産するさくらんぼの長期保存や海外展開を可能にする技術開発として期待しており、現在は品質保持期間を通常より長期となる最大56日間(8週間)に延長するための確認検証を進めております。
共同研究の様子
《海外輸送検証について》
当社は、本年6月にジェトロ山形の海外輸出支援により、佐竹物産株式会社(山形県山形市)の協力を得て英国(イギリス)ロンドン市内の輸入業者へパッケージに「特定ガス組成」を封入した「やまがた紅王」を空輸し、当社社員が現地訪問し関係者と食味試験を実施いたしました。現地の食味試験では、「外観、味、香り、食感」ともに高い評価を得ることができ、遠方輸送にも効果があることが確認できました。
山形県全体のさくらんぼ総生産数量1万トン超に対し、近年の輸出量および輸出額は増加傾向にありますが 海外輸出量はわずか数トン程度※2に留まっているのが現状です。そこに当社の「特定ガス組成」を活用することで 海外需要家へのさらなる販路拡大が可能になります。
英国で果物が販売されている様子
ロンドン市内の街並み 英国有名百貨店の食品売り場 店頭に並ぶ外国産さくらんぼ
英国ロンドン市内で実施した食味試験の様子
当社社員による品質確認 現地関係者による品質確認
《社会的背景》
さくらんぼは、採れたてのおいしさを味わえる期間が短く、流通エリアには限界があります。近年は気候変動や 天候不順等により、収穫時期が早期化・短期化していることに加え、さくらんぼ作業の人手不足への対応策が求められております。また、物流業界の「2024年問題」など、青果物輸送を取り巻く環境は多くの困難を極めております。
《今後の展開・展望》
さくらんぼの輸送に当社の「特定ガス組成」を活用することで、品質保持期間の延長が可能となり、流通エリアの拡大につながります。また、収穫後のさくらんぼの一次保管期間を設けることで、収穫から出荷までの期間を延長し生産者の作業効率化や計画的な流通が可能となります。
物流・運送の課題に対しては、空輸・陸輸など長期間の大量輸送に対応する特殊コンテナの開発や、海外高級 デパート向け商品の輸送方法の確立など、多種多様なサプライチェーンにおいて、同様の効果を発揮させ山形県産さくらんぼを日本国内遠方から海外諸国まで広く展開できるビジネスモデルを構築してまいります。
また、当社はさくらんぼにとどまらず、食品や産品においても、ガスによる品質保持期間の延長について熟成 制御などの実用化・事業化を視野に入れ、研究開発を進めてまいります。
当社は、昭和31年の創業から山形県内陸部を中心に、LPガス・産業用ガス・医療用ガスの販売を主力とし 67年にわたり、一般家庭から産業・医療業界まで幅広く地域の皆様にご愛顧いただいております。引き続き 「安全・安心」なライフラインの確立を図るとともに、今般に留まらず、日本の優れたものを幅広く楽しんでいただく ための技術開発(エネルギーによる新たな価値創造)を目指し続け、地域の皆様とともに課題解決に取り組んでまいります。
※1 農林水産省 令和5年産びわ、おうとう、うめの結果樹面積、収穫量及び出荷量 統計資料より
※2 山形県農林水産部 令和4年度県産農産物の輸出実績について 調査結果より
《本件に関するお問合わせ先》
山形酸素株式会社 社長室 広報課 鈴木・菊地
電話: 023-645-0412 Mail: contact@sunene.co.jp
長持ちさせる 傷みにくくする 輸出課題 新鮮 採れたて 鮮度を保つ すぐ傷む すぐ腐る 人員不足 生産現場 大量廃棄 食品ロス フードロス